暗闇が続き、何故だかとてつもなく不安になってくるような、そんな場所。

「ここ…何処だろう」

少年はポツリと呟いた。
応えは返ってこない。
否、返ってくるハズがなかった。
何故なら、ここには少年しかいないのだから――。
……可笑しいなぁ。
ナニカが欠けている。
そんな考えがふと浮かんだ。
少年は一生懸命考える。足りないナニカを補う為に――。
だが、いくら悩み考えても答えはでなかった。
依然として、でてくるのは不安だけだ。
少年は居ても立ってもいられなくなり、走り出す。
どこまで行っても、あるのは暗闇だけ。
どこへたどり着くでもなく、走り続けた。
足りないんだ、ナニカが。
見えないナニカを追い求めて、暗闇を行く。
――寂しい…。
何故だか泣きたくなった。
すると、ふと光が見えた。
少年はホッとして、その光を目指す。
そして、光に到達した――。




「おい、大丈夫か?うなされてたぞ」

物の怪が心配した様子で話しかけてくる。

「……もっくん…」

あぁ、見つけた。
足りないナニカ。欠けていたナニカ。
昌浩は安堵の息を吐いた。そして、微笑む。

「…昌浩?」

「なんでもないよ」

そう言って、昌浩は物の怪を抱きしめた。
あぁ…温かいなぁ。
物の怪の温かさを、感じながら――。




前サイトの拍手お礼小説第一弾。
これは題名すらありません。
今更ながら、考えたほうが良かったかなと思いました。

2007.03.移転に伴い一部修正しました。